ことばが遅い?1歳6ヶ月健診の内容と家庭でできることばの発達サポート

はじめに
「1歳6ヶ月健診が近いのにまだ言葉が出ない…大丈夫?」と心配になる親御さんは多いのではないでしょうか?ことばの発達には個人差があり、焦る必要はありません。しかし、ことばの発達の目安を知り、家庭でできるサポートをすることは大切です。本記事では、1歳6ヶ月健診の内容とことばの発達段階、家庭でできることばのサポート方法について詳しく解説します。

もうすぐ1歳6ヶ月健診があるのに、うちの子しゃべっていないから心配だわ!

1歳半健診は1歳6ヶ月から2歳の間に受ける健診ですね。せっかく時間をかけて受けるので、内容を知って有効活用しましょう。
1歳6ヶ月健診の内容 〜ことばの発達面〜
1歳半健診では、ことばの発達面に関して、「きこえ」と「ことば」の2つ側面についてそれぞれのチェック項目を確認します。
聞こえについて
ことばをしゃべっているかどうかに注目しがちですが、そもそもことばを聞き取っていないことには、ことばをしゃべることはできません。ことばを話す前提となるきこえの状態は、重要なチェック項目になります。
・呼名への反応:名前を呼ばれたときに振り向くか
・音への反応:物音や声への反応は確実か
・新生児スクリーニング検査の実施の有無
※聞こえへの反応が悪い場合、中耳炎の可能性、難聴の可能性がありますのが、滲出性中耳炎といって鼓膜の奥に水がたまり聞こえが悪くなる場合も多いので、担当の保健師さんにまずは耳鼻科を紹介してもらいましょう。滲出性中耳炎は痛みを伴わないことが多いので、お子さんもママパパも気づきにくいです。
ことばの発達状況について
1歳半健診でのことばの発達面のチェック項目は下記の3つ程度です。
・意味のある単語をいくつか話しているか
・指さしで意思を伝えられるか
・簡単な指示(「ちょうだい」「バイバイして」など)を理解しているか
※この時点で言葉が出ていなくても、周囲の言葉を理解している場合は大きな問題ではありません。
しかし、言葉の理解が乏しい、指さしもほとんどしない、人への反応が乏しいなどの様子が見られる場合は、言語発達の遅れが疑われるため、専門家に相談することが勧められることがあります。
1歳6ヶ月前後のことばの発達段階
1歳6ヶ月前後のことばの発達の目安
1歳半頃の子どもには、以下のようなことばの発達が見られます。
・単語を1〜2個話し始める(「ママ」「ワンワン」など)
・指さしをして物の名前を伝えようとする
・「ちょうだい」「バイバイ」などの簡単なことばの意味を理解する
※ことばの発達の個人差はかなり大きく、早いお子さんは2語文を話し始める一方で、まだことばを話さないお子さんもいます。
もし、ことばが出ていなくても、ママパパの話すことを理解していたり、ジェスチャーや指さしで意思を伝えようとしているなら、焦る必要はありません。
1歳6ヶ月前後のコミュニケーションの発達
ことばを理解したりおしゃべりするには、以下のような相手に伝えたい、分かってほしいという思いが育ってくることが必要です。
・お子さん自身の思いを指さしや表情、身振りで伝える
・ママパパと楽しいね、面白いね、と視線を合わせて共感し合う
※ことばを話し始める前提として、人への興味関心があります。このようなコミュニケーション発達が土台となって、やがて相手に「ことば」で伝えるようになります。
ことばが遅い?家庭でできるサポート
ことばを引き出す関わり方
話しかけ方のこつ
・お子さんに合わせたことばかけの仕方は以下の5つです。
①ゆっくり
②短く
③簡単なことばで
④繰り返し
⑤イントネーションを誇張する
子どもは、大人のようにだらだらと長く話しても、全く分かりません。異国の地に行っているような状態です。ことばの理解につなげていくために、ゆっくりはっきり伝えましょう。
・話しかける内容について
①日常の出来事をことばにして伝えましょう。
「パパ帰ってきたよ」「わんわんだね」「ブッブーきたね」
②気持ちや思いを伝えましょう
「おいしいね」「牛乳飲む?」

・インリアル法の7つの手法もおすすめ!
①パラレルトーク:子どもの気持ちや行動を言語化する
②セルフトーク:大人の気持ちや行動を言語化する
③ミラリング:子どもの動作を真似る
④モニタリング:子どもの発声を真似る
⑤エキスパンション:意味や文法を広げて返す
⑥リフレクティング:言い誤りを正しく言って返す
⑦モデリング:反応の仕方のモデルを示す
インリアル法については、記事を作成予定なので、こちらも参考にしてください

指さしや表情を活用する
・子どもが指さしたものを言葉で伝えてあげる(例:「あ、犬だね!」)
ことばを話していなくても、指さしや表情で楽しいこと、うれしいこと、ほしいものを表現してくれるお子さんは多いです。お子さんが指さししたものをことばで伝えてあげましょう。表情で伝えてくれた時は、うれしいね、おいしいね、などのことばでお子さんの気持ちを伝えてあげましょう。

注意点!
お子さんがしゃべってくれないからと言って、真似してごらん!いってごらん!1音ずつ真似しなさい、等は絶対にしてはいけません。
無理に言わせようとすると、うまく言えない、分かってもらえない、としゃべることに消極的になってしまいます。指さしやジェスチャーで伝えてくれたことをことばで返していくことで、ことばでの表現する力につながってきます。
ことばの理解力が伸びてくることで、お話する力も自然と育ってきます。
・「バイバイ」や「ちょうだい」、ジェスチャーなど簡単な動作を一緒にやる
おしゃべりする力に結びつけていく前段階として、ジェスチャーや身振りを取り入れることをオススメします。いわゆるベビーサインです。
おしゃべりできるようになる前に、ジェスチャーで伝え合えることを目指しましょう。おすすめのジェスチャーは以下のとおりです。どんなジェスチャーにするかは、ママパパが決めて大丈夫です。親子で伝えあえればOKです。
①バイバイ・ちょうだい
②飲みたい(ゴクゴク)・食べたい(アムアム)
③車(ブッブー)犬(わんわん)あんぱんまん
④もっと(もう一回やってほしい)
ベビーサインについては、記事を作成予定なので、こちらの記事も参考にしてください。

育児の中でことばを育てよう
・「お買い物に行くよ」「おむつ変えよう」「お風呂に入るよ」とお子さんが次に行うことを1つ1つお子さんに伝えてから実行しましょう。ことばだけで伝えたときにうまく伝わっていないな、と感じたら、買い物であれば買い物バックを見せる、おむつ交換であればおむつをみせるなど、関係するグッツをみせて理解を促しましょう。
ことばを話すようになる前に、たくさんのことを理解する力を育てて行きましょう。
・お手伝いをしてみよう
洗濯物の靴下のペアを作る、おもちゃを一緒に片付ける、ペットの散歩に一緒に行く、コップやお箸を家族分並べる、などなど、お子さん自身は家事のお手伝いには家族のものを見分け、ママパパはお子さんに色々と教えたり話しかけるきっかけになるので、ことばの理解を促していくことができます。
お子さんと一緒だとかなり時間がかかってしまいますが、時間に余裕があるときに一緒に行うと、ことばの理解力アップにつながります。
遊びの中でことばを育てよう
・お子さんの好きな遊びをママパパも一緒に楽しもう
お子さんの好きな遊びで一緒に遊ぶ中でことばかけをしていき、まずはことばの理解力を育てていきましょう。室内での電車や車、お人形遊びだけでなく、公園で遊ぶ、お散歩に行く、お花に水をあげる、海や川で遊ぶ、など色々な経験がいろいろなことばを理解していくことにつながります。
・絵本の読み聞かせをしよう
お子さんの興味ある題材の絵本を読んであげましょう。ママパパが指をさしながら「うさぎさんだね」など、伝えてあげるといいです。絵本の文字通りに読む必要はありません。お子さんの興味と理解力に合わせて、絵を見て楽しんだり、どんどんめくっていっても大丈夫。お子さんが指さししてきたら、「ころんじゃったね」など指さししたものをことばで返してあげましょう。
注意点!
ことばを心配するあまり、ママパパはつい「これなあに?」と質問しがちですが、これは止めましょう。
楽しい絵本の時間がつまらなくなってしまいます。あくまでもママパパと一緒に絵本を見ることができてうれしい、楽しい、の繰り返しが、絵本から言葉の力を育む原動力になります。
Q&A よくある質問
Q1. 1歳半でことばが出ないのは問題?
A. 個人差がとても大きいですが、ことばの理解があるか、ジェスチャーを使えているかが重要です。
Q2. どのタイミングで専門家に相談すべき?
A. まずは、1歳半健診で相談してみましょう。2歳を過ぎても単語がほとんど出ない、ことばの理解が乏しい場合は、保健センターの保健師、言語聴覚士や小児科医に相談しましょう。
Q3. ことばを増やすために親が注意することは?
A. しゃべってほしいがためにことばの真似を強制する、1音ずつ真似させる、例えば「あいす」を「あ」「い」「す」と真似させるなどです。お子さんの中の真似したい!伝えたい!という気持ちの育ちが大切なので、楽しいうれしい中でお子さんが自然と真似したくなる、伝えたくなるよう、お子さんの好きなことをママパパも一緒に楽しみましょう。

ことばの発達には個人差があります。大切なのは、子どもの理解力を確認しながら、楽しくことばを育てること。日々の関わりの中で、ことばの世界を広げていきましょう。